2014年11月


商売を始めたころ、自分の手はガサガサで傷が絶えず、爪の間は油や砥粕で真っ黒だった。

作業着に常備していたのは絆創膏で、機械工具で傷つくことは日常茶飯事だった。

そんな自分の手が、近年はキレイになって傷も無くなり、少し細くなってゴツゴツ感が無くなった。

「昔の手の方が好きだったなぁ」などと感慨に耽ることもしばしば。

自分の手にも歴史が刻まれている。

昔のような手に戻ることはないが、この先は萎れてしまわないように、更に深くて意味があるシワを刻みたいものだ。



買い物に行ったら、女房が「あった、あった」とバターを買い物カゴに入れ込んでいる。

バターが品切れ状態で、なかなか手に入らないらしい。

嫁いだ娘宅の分に3個も買い込んだ。

我が家ではパンを食べる習慣も、バターソテーするような洋食も食卓に上らないので、買い込んだバターは娘宅に行くのだろう。

家に戻って、バターが品切れしている問題をネットで調べて、様子が少し分かった。

猛暑で乳牛の体調が悪く搾乳量が減少していることと、酪農の離農者が増え続けていることが要因らしい。

TPPでニュージーランドが生乳の自由化に圧力を掛けているようだから、この際、関税を撤廃して自由化の対象品にすれば良いのだろうが、酪農保護の観点もあって難航しているのかもしれない。

クリスマスを控えてバターを必要とする業界は悲鳴を上げているようだ。

酪農家の就労者が増える目途が無いのだから、輸入に頼るしかないだろう。

また食糧自給率の話題で揉み消されるのだろうか。



ダイハツは発売した“コペン”というオープンカーが面白い。

車の外装を購入後に着せ替えできる構造になっている。

白い車を買って、別売の黄色の外装を用意すれば、黄色の車種になる構造だ。

TPOに合わせて車が着せ替えできる仕掛けは面白い。

売れるかどうかは別にして、こういう自由な発想で新しい製品が生み出される企業文化が賞賛できる。

外装のパネルを2台分持つことは面倒だが、こうした仕掛けが受ければ、将来はもっと簡易的に車の外装を変える仕掛けが生まれるかもしれない。

洋服と同じように、場面ごとに車の見栄えを変えることが出来たら面白い。



最近のビジネスマンはモバイルでメモやダイヤリーを記録して管理している。

手帳を持たない人が増えた。

ひとつのモバイルでデータを一元管理できるので、時代の流れはモバイル化でいいのだろう。

だが過去の自分の行動が確認できないのは巧くない。

普通の話しではないが、訴訟に巻き込まれて過去の行動や出来事を遡って確認するとき、データ管理が行き届かず遡りが出来なかったら御仕舞だ。

立身出世して自伝を綴る時、過去を遡ることが出来なければ頭の記憶に頼ることになる。

時代遅れと言われようが、アナログなビジネス手帳は続けて活用すべきだと思う。



学校では黒板にチョークが定番だったが、今どきの学校では黒板があるのだろうか。

職場はホワイトボードに変わってしまったので、黒板を目にすることはほとんどなくなった。

先日、チョーク製造の業界トップ企業が会社を清算した。

事業の先行きと市場縮小と後継問題によって会社を畳むことになったらしい。

先細りのマーケットに足場を置いている事業は、持っている事業コアを活かせる新たな市場に転進するしかない。

新たな市場が見つからなければ、企業の命運は尽きる。

チョーク製造技術が活かせる別の市場が無かったのだろうか。

そういう転進の戦略は、若い柔軟な頭脳でなくては着想できない。

頭脳が老いてしまってから斬新な攻めの戦略を練るのは難しい。


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