今の時代、“下積み”という言葉をあまり聞かなくなった。
なまじ職場で“下積み”を押し通せば、若者が離れてしまうし、昔ながらの辛抱や忍耐を強いれば「パワハラ」だとか「ブラック」と言われて世間から誹謗されかねない。
若者が学校を出て仕事に就けば、昔は仕事の意味や価値を知るために、下働きをすることが当たり前だったが、昨今では勤めてすぐに一人前扱いされたがる若者が多い。
回転寿司の厨房で働く人が、寿司職人気取りで寿司を語ると呆れてしまう。
寿司という食文化の下積みを経験すること無く、ロボットが成形したシャリに切り揃えたネタを乗せるだけの作業員が、どうして寿司職人といえるのだろう。
時代に合わせ、若い労働力に迎合する姿勢が仇になっている。
仕事人には下積みが必要だと思う。