紙一枚の厚さを定規で測ることはできないけれど、そんな薄っぺらな紙でも100枚、300枚と重なると、目で見ても3cmくらいとか、10cmくらいと厚みが分かるようになる。
人が積み重ねる「信用」は、そんな紙のようなもので、毎日、毎日、善行と努力を積んで約束を守りながら、紙のように重ねて行くものだろう。
一つの善行や、一度の努力や、一回の約束を守ること自体は、計ることが出来ないくらい些細な信用作りにしかならない。
でも100回、300回と重ねることで「あの人は信用できる」と言われるようになる。
 
折角重ねた紙でも、不注意で窓を空け放しにしておくと、強い風が吹いたときに紙は風に舞って飛んでしまう。
飛んだ紙は一枚一枚拾って、再び丁寧に重ねていくしかない。
信用も同じで、一度の約束違反という突風が吹いてしまうと、折角重ねた信用は全て飛び去ってしまう。
お客様との約束を違反をすれば取引は途絶えてしまう。
銀行との約束を違えれば、本当に資金に行き詰まったときに力になってもらえない。
だからいつも緊張して「義理を欠いている先はないか」「報告を忘れている先はないか」「明日の約束の準備はできているか」と気を抜かないように心掛けないといけない。
ちょっとした忘れ事で、自分としても些細な出来事だからと軽んじたことが原因で、思わぬ信用失墜を経験したことがあるから、こんな慎重な行動になったのかもしれないが、思わぬ突風だけは避けなくてはいけない。