ガリレオの80%の売上が造反連中に奪われ、残る社員を眺めてみても、とてもじゃないが会社を存続させるような収益を作ることは期待できない。
事業の拡大を期して移った駅前の本社事務所の家賃だって賄って行くのは難しい。
私は眠れない日を幾日も重ねていた。
妻には「会社はダメかもしれないからイザの時の覚悟をしておいた方がいい。
自己破産して我家も手放すことになる」と告げた。
私は回生の手段が無いか、必死になって考えた。
本社事務所の移転を含め、会社の世帯を縮小して生き残る方法を考え続けた。
しかし後ろ向きな対策をどのように練っても、会社が抱えている借入金の返済が賄えない。
そんな日々を重ねながら営業に精をだしていた。
寸暇を惜しんで書店に通い回生のヒントを探し続けた。
一冊の本の一行が目に止まった。
柳生新陰流奥義書。そうだ今の立ち位置が振り下ろされる刃の真下にある。
ここは下がるのではなく一歩前に進んでみよう。
事務所の移転も、人件費のカットも、資産の売却も止めた。
自分の報酬だけカットして事業拡大に向けて仕切り直してみようと決意した。